顎関節症
- Qカクカクと音がするだけなら、放置しても大丈夫ですか?
- A痛みや開口障害(口が開かない)がない場合、すぐに治療が必要ないこともあります。
しかし、放置することで関節円板のズレが進行し、ある日突然口が開かなくなるリスクもあります。
一度検診を受け、現状を把握しておくことをお勧めします。 - Q治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
- A症状によりますが、スプリント療法や生活習慣の改善を数ヶ月続けることで、多くの方が症状の緩和を実感されます。
慢性的な場合は、定期的な経過観察が必要になります。 - Q肩こりや頭痛も、あごの治療で治りますか?
- Aあごの筋肉は首や肩の筋肉と繋がっているため、顎関節症の改善に伴って肩こりや頭痛が軽減されるケースは多くあります。
ただし、他の要因も考えられるため、多角的な視点が必要です。
あごの不調は、身体からの「休んで」というサインかもしれません
「口を開けようとすると、カクッと音がする」
「朝起きた時、あごの付け根が痛くて食事がしにくい」
「大きく口が開かず、歯医者さんの治療や食事がストレスになっている」
「原因不明の頭痛や肩こりが続いていて、もしかしてあごのせい?」
こうした「あごの不調」に悩んでいる方は意外にも多く、一生のうちに2人に1人は何らかの顎関節症状を経験するとも言われています。
しかし、どこに相談すればいいのか分からず、マッサージや鎮痛剤でその場をしのいでいる方も少なくありません。
たけ歯科クリニックでは、顎関節症を単なる「あごの病気」として捉えるのではなく、噛み合わせ、生活習慣、そして全身のバランスが関わり合うデリケートな問題として向き合っています。
顎関節症とはどのような病気か?
顎関節症とは、あごの関節(顎関節)や、あごを動かす筋肉(咀嚼筋)に異常が生じ、「あごが痛む」「口が大きく開かない」「あごを動かすと音がする」といった症状が出る疾患の総称です。
なぜ症状が起きるのか?(多因子的な背景)
以前は「噛み合わせの悪さ」だけが原因と考えられていましたが、現在は複数の要因が積み重なり、その人の持つ「耐性」を超えた時に発症すると考えられています。
ブラキシズム
歯ぎしりや食いしばり(無意識のうちに強い力がかかる)。
生活習慣
頬杖をつく、うつ伏せ寝、スマートフォンを長時間同じ姿勢で見続ける。
ストレス
精神的な緊張が筋肉の強張りを引き起こす。
噛み合わせ
歯並びの乱れや、抜けた歯を放置していることによるバランスの崩れ。
顎関節症の主な症状と4つの分類
日本顎関節学会の分類に基づき、症状の原因を特定することが治療の第一歩です。
咀嚼筋痛障害(1型)
あごを動かす筋肉(咬筋や側頭筋)の筋肉痛のような痛み。
顎関節痛障害(2型)
関節を包んでいる膜や靭帯に炎症が起きている状態。
顎関節円板障害(3型)
関節の間にあるクッション(関節円板)がズレてしまっている状態。
音が鳴る「クリック」や、口が開かなくなる「ロック」はこのタイプです。
変形性顎関節症(4型)
長年の負担により、あごの骨自体が変形してしまっている状態。
たけ歯科クリニックの「精密診断」プロセス
適切なアプローチを行うためには、「今、あごの中で何が起きているか」を正確に把握する必要があります。
歯科用CTによる骨の診査
当院では、3次元立体画像が撮影できるCTを活用します。
従来のレントゲンでは重なって見えなかった、あごの骨の「形」や「変形の有無」、骨同士の「隙間(関節腔)」を精密に診査できます。
これにより、骨の変形(4型)の有無を即座に判断することが可能です。
徹底した問診と触診
いつから痛むのか、どのような動作で音がするのかを詳しくお伺いします。
また、実際に医師があごの筋肉に触れ、どこに痛みや張りがあるのかを確認します。
咬合圧検査
どの歯に過剰な力がかかっているか、噛む力の左右バランスはどうかを数値化します。
顎関節への負担の源となっている「力の偏り」を可視化することで、納得感のある説明を行います。
当院で行っている治療とケア
顎関節症は、急激に手術を行うような疾患ではなく、保存的な療法(身体を傷つけない方法)を組み合わせて進めるのが基本です。
スプリント療法(マウスピース治療)
患者さま専用のマウスピース(スプリント)を作製し、夜間を中心に装着していただきます。
噛み込みを浅くすることで、あごの関節への圧迫を軽減します。
また、歯ぎしりによる筋肉の緊張を緩和し、噛み合わせを一時的に理想的な位置へ誘導します。
理学療法とマッサージ指導
強張ってしまった筋肉をほぐすためのマッサージや、あごを正しく動かすための「開口訓練(リハビリ)」を指導します。
生活習慣のアドバイス(認知行動療法)
「歯列接触癖(TCH)」といって、何気ない時に上下の歯を接触させてしまう癖を意識して改善していただきます。
頬杖をやめる、枕の高さを見直すといった、日常生活の中の「原因」を一つずつ取り除いていきます。
リスク・副作用について
スプリントの違和感
初めて装着する際、寝苦しさや唾液の増加を感じることがありますが、多くは数日で慣れていきます。
噛み合わせの一時的な変化
スプリントの使用により、筋肉がリラックスして「本来のあごの位置」に戻る際、一時的に噛み合わせに違和感を覚えることがあります。
完治の難しさ
顎関節症は生活習慣が深く関わるため、ストレスや疲労によって再発する可能性があります。
よくあるご質問(FAQ)

